エンタメをサイエンスする

まとめて日記。


17日(土)&18日(日)
研究室旅行で湯河原へ。
おもしろい旅だった。
この面白さはなんなのかと考えてみると
なかなか言葉にするのは難しいのだけれど
三石海岸にいき江ノ島にもいき
場所がとてもよかったということもあるけれど、
それ以上にみんなとする会話がおもしろかった。
人々によって生み出される「場」が良いと思った。


ボスにウェブと脳科学をつなげる道筋を考えてみたらと
言われて、まじめに考え始める。




19(月)
機械学会のシンポジウムが東工大であって、
日立の小泉さんとボスの講演を聴きにいった。


ウェブと脳科学をつなげるには
ボスのいう「抽象的な報酬構造」というキーワードが
鍵な気がする。


そもそも
エンターテイメント業界において
クリエイターと呼ばれている人々は
ずっと「抽象的な報酬構造」を生み出す要素に
ついて考えてきたわけで
個々のクリエイターの脳内で、
恣意的かつ経験的に見いだされる要素たちと、
その要素たちが織りなす複雑なパターンが
「抽象的な報酬構造」であり、
エンターテイメントの面白さを生み出す。


また
エンターテイメントの生成プロセスには、
過去と未来の間には圧倒的な非対称性が内在していて
すでにできあがったものについては
いくらでも分析して、これが面白さの原因だと、
もっともらしい理由がつけられるけれど、
次になにがヒットするかはわからない。未来はいつも霧がかかっている。
要はつくってみないと面白いかどうかはわからなくて、
科学的に普遍的な法則があって、それによって
かならず未来を予測することができる、
というような性質のものではない。


でも
クリエイターの業界に8割バッターがいるということは
そのような人たちはより普遍的な報酬構造の要素を
見つけているかもしれないことを意味していて
つまり近似的であってもより多くの人の心の琴線を揺さぶる
ことができる強力な面白さの要素というものが存在している可能性があって
結局、それを見つけることができた人がクリエイターと呼ばれ
それが、個々のクリエイターの作品のアイデンティティとか個性というものを
構成する。


もし
それらを脳科学の文脈のなかで取りだせたとしたら
それは科学的にエンターテイメントを扱えたことになるのか?


ジェフリー・ミラーの「恋人選びの心」にこんな記述があった。

 もしも私のような進化心理学者が、正確にどんな刺激パターンが人間の脳を最適に刺激するのかを予測できるならば、すぐにでもハリウッドに移住して、娯楽産業コンサルタントとして高い給料をもらうことができるに違いない。しかし、私たち進化心理学者も、普通の映画プロデューサー以上にうまく予測することはできない。なぜなら、祖先の時代に普通にあった出来事に対して、普通の人がどのように反応するかについて一般的な知識はあったとしても、ある新しい刺激に対して人間の脳が正確にどのように反応するかを予測することはできないからだ。現代の人間の文化は、このすべての可能な刺激空間を探索し、私たちの脳を快楽的にくすぐらせる方法を発見しようとしている、巨大な共同作業といってよいだろう。


エンタメをサイエンスするというのは、一見なんだか問いが
間違っているように見えるのだけれど
発想をひっくり返せば、逆にブレイクスルーすべき壁はまさにここにある!
と言えるのではないか??という気もする!




23日(金)
ゼミ。3月で卒業するオンゾウとオオクボの最終講義を聴く。
あまり実感が湧かないのだけれども二人は卒業していく。
寂しいことではあるけれど、
道を定めた二人の晴れ晴れとした姿をみると
悦ばしいことでもあるのだなぁと思った。




24日(土)
西口敏宏さんの「遠距離交際と近所づきあいー成功する組織ネットワーク戦略」
を読み始める。これはおもしろい本だ!!