「LOST」

先週から月火の深夜に「LOST」が放送されていて
1話と2話を見ておもしろい!!と思って
土日2日間をかけてレンタルDVDで
「LOST シーズン1」をすべて見てしまった。
全25話で1話が約43分。目が痛くなる。


飛行機が奇妙な島に墜落してしまって、
そこでサバイバルをする話。
1話ごとに1人の登場人物の過去の話とリンクして物語が展開する。
島は謎に満ちていて、オカルトの要素も入っている。


演出が怖い!!


ジャングルを歩いていると、カサカサと音がなる。
周囲をぐるぐる見渡す。人影は見えない。
でも音はどんどん大きくなる。なにかが迫ってくる!!


という演出がとても効果的に使われる。


あと島の謎も怖い。


恐怖は「目に見えないもの」に宿る、ということを知る。


敵の正体が実は人でした、とかエイリアンでした、とか
具現化されてしまった時点できっと恐怖というのは消滅してしまう気がしていて
どこまでいっても正体がなんだかわからないということが
効果的に恐怖を生み出すのだと思った。


そういう意味では、映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」に似ていると思う。
あの映画はみんな最後に消えてしまうけれど
最後まで森にすむウィッチの正体は謎のままだった。


「LOST」を見ていたら、電気のついてない部屋の暗闇が怖くなってきて、
ふと、文明以前のジャングルで暮らしていたヒトたちはこの感覚を
ずっと持ち続けていたのではないだろうかと思ふ。
昔のヒトが膨大な神話を生み出した理由の一つは、
「目に見えないもの」に対する恐怖を
克服するためにあったのでないか?


昔、簡単な記号の言語を操れるゴリラが、
森には怖いものがいる
という意味のことを記号で説明している映像をみた記憶が
あるのだけれど、あれはなんだったんだろう・・。
単にヒョウみたいな天敵のことを指していたのだろうか。


話はさらに飛ぶけれど、
ヒトの脳の特権が「目に見えないもの」を見ることができる
ことにあるのは間違いなくて、「目に見えないもの」という考えが今とてもアツい。


科学は、「目に見えないもの」を見ようとする営みだと思う。
おもしろい例が、暗黒物質で、
銀河系の星たちの分布を見ると、クラスターをつくっていて、
観測される星たちの質量から計算される重力だけでは、
そのクラスター性を説明できないらしい。
もしニュートンの重力の法則が正しいならば、宇宙空間を
目に見えない、未知の物質が満たしていなくてはならなくて、
いまの科学者はなにもない宇宙空間に「暗黒物質」を見ている。


宗教だって基本的には「目に見えないもの」を見る脳の働きから
出てくるもので、ヒトは「目に見えない」超越的ななにかを「神様」と名付けてきた。
時間がたって「目に見えないもの」を具現化しようとして
偶像崇拝に向かう宗教もあるけれど、
イスラム教みたいにどこまでも視覚化することを禁止する宗教もある。


あと、昔のロボットアニメは、たいてい初回から
人のカタチをした悪玉が登場するのだけれど、
つまり、敵の正体が目に見えてしまっているのだけれど、
最近のエヴァンゲリオンから始まったロボットアニメの潮流は
最初は敵の正体が分からない。
「敵の正体」とかそれを支えている枠組みとしての「世界」とかその起源が
「目に見えない」大きな謎として設定されていて、
それが徐々に明らかになっていくのが、おもしろさの要素の一つになっている。
だから、おもしろさは謎が極まる真ん中あたりがピークで
徐々に世界の謎とか起源が明らかになる段階になって、
古代人の超テクノロジーが残したなにか、みたいな
収拾がつかないというか破綻しているチープな設定が
前面に出てきて苦しくなってくる。。


そういう意味で「LOST」は、「目に見えないもの」が
まだまだ謎のままで物語を引っぱっていて、
シーズン2もきっと見てしまう気がする!