カユカユ地獄

三連休の頃、蚊に食われたと思って
足の太股ふきんの赤い発しんを掻いていたら
枯草の野原で野火が一気に燃え広がるように
赤い発しんがまたたくまに身体中に広がって
皮膚科にいったら、多形滲出性紅斑という病気に
かかっていることを知る。


とにかく痒くて、一番ひどいときは
起きているときは我慢できても
夜寝ると無意識に掻いてしまって
2時間置きに目覚めてはかゆみ止めを塗る
という行為を繰り返す。
それで、しょうがないので、ベルトで両手首を縛ってみても
なぜかほどいて掻いている状態で目を覚ます。


痒いところを掻くとなぜかとても気持ちがよくて
掻き始めると、止められなくなって掻いていると
だんだん皮膚が破けて血が出てきて
爪が血みどろになりながらもまだ気持ちよくて掻きつづけると
皮膚の表面が燃えるように痛くなって
ようやく掻くのをやめる、
というカユカユ地獄におちる。


苦しい・・と思っていたら束芋さんの新作の作品の記事が日経新聞に載っていた。

 その束芋が満を持して出典した新作が、三階建てのドールハウスを舞台にした「dollfullhouse(ドールフルハウス)」(六分三一秒)だ。
 大画面に巨大な手が現れ、ドールハウス内部にデーブルやイス、ピアノやベッドを置いていく。巨大な手は途中、我慢できずに手をかきむしる。家具は配置を終えたと思えた瞬間、手でなぎ倒された。
 ドールハウスは「世界を縮小したもの」に見立てられている。家具を「ここ」と思う場所に置いているはずなのに、出来上がるにつれ理想の配置とズレていく感覚。そして、「破壊」。
 創作の源は個人的な出来事にある。アトピー性皮膚炎だ。かゆい感覚を我慢できずにかきむしる行為(破壊)。かいた瞬間の快楽と痛み。薬を塗ると皮膚は再生(構築)する。「痛みを伴うと分かっていて、かいてしまうといったことは世間にままある。かきむしる行為を必ず表現できると思っていた」と言う。


このカユカユ地獄も、文脈を変えるとアートになってしまう
この世界の奥深さを想ふ・・。


ここ一週間で、ぼつぼつあった発しんが平たくつながって
日焼けし過ぎて赤くなった皮膚みたいになって
ここ数日で、皮がむけ始めた。


しかし、痒い皮膚を掻くと快感を感じるのなぜだろう?
その脳内メカニズムはなんなんだろうとおもってぐぐる
皮膚には痒み受容器と痛み受容器があって
痒み受容器がアクティブになっていて脳が痒いと感じているときに
掻く=痛みの受容器を刺激すると
脳内で”痒い”と”痛い”が相互作用して快感になるらしい。
本当なのか!?
痛みと快感の脳内部位は分かっているけど、
痒みの脳内部位は分かっているのだろうか?


クオリア空間では、
痒み+痛み→快感
という”化学反応式”が成り立つところがなんだか面白いと思った。